システム開発プロジェクトが頓挫したが,その原因がユーザ側の事情によるものであるとして,ユーザの損害賠償義務が認められた事例。 事案の概要 Yは,総合通販用の基幹システムの刷新を目的として,平成22年8月9日に,ベンダXに対し,要件定義を委託した(本件個別契約1。委託料1億4550万円)。Xはシステムフロー設計書等を納品し,YからXに上記委託料が支払われた。 同年11月1日には,XY間で,本件基本契約が締結された。その内容は,本件業務(要件定義作成支援,外部設計書作成業務,ソフトウェア開発業務,ソフトウェア運用準備,移行支援業務から構成される。)をXに委託すること,開発を3フェーズに分けて,フェーズごとに個別契約を締結すること,本件業務の対価の上限を約13億とすることなどが定められていた。本件基本契約締結時点において,第1フェーズはすでに終了しているという位置づけだった。 同日,XY間で第2