記者会見の冒頭、綱川社長はこう語った。 3月期決算の上場企業は5月に決算発表するのが普通である。だが東芝は経営破綻した米原発子会社、ウエスチングハウス(WH)が買収した原発建設会社、ストーン&ウェブスター(S&W)の損失計上のタイミングを巡ってPwCあらた監査法人と対立。 「2016年度には損失を認識していたはずだ」とするPwCに対し、東芝は「認識すべきだった証拠はない」と反発、両者が睨み合う中、PwCが監査意見を出し渋っていた。 監査意見なしの決算を東京証券取引所が決算として認めなければ東芝は即、上場廃止になるところだったが、PwCは土壇場で「限定付適正意見」を出すことで合意し、ことなきを得た。限定付適正とは「意見の相違がある部分はあるが、概ね適正」という意味。これを指して綱川社長は「正常化」としたのである。 PwCはなぜS&Wにこだわったのか。それは米証券取引委員会(SEC)がWHによ