※この記事は、月刊「正論11月号」から転載しました。ご購入はこちらをクリック。 「『新型コロナ対策が最優先』。この秋の政治日程について問われるたびに、私はそのように申し上げてきました。その通りに全力を尽くし、足元の感染はようやく減少傾向にありますが、収束には未だいたっておりません。(中略)こうした中で、自民党総裁選挙が始まろうとしております。新型コロナ対策と多くの公務を抱えながら、総裁選を戦うことは、とてつもないエネルギーが必要です。九月十二日の制限の解除は難しい-。そうした中で覚悟するにつれて、やはり新型コロナ対策に専念すべきと思い、総裁選挙には出馬しないと判断をいたしました」 菅義偉首相(当時)は、九月九日午後七時から首相官邸で開かれた記者会見で、自民党総裁選(同月二十九日投開票)への不出馬の理由をこう説明した。淡々とした表情で声を荒らげることもなく質疑に応じた。いつもどおり、指名され