スピン経済の歩き方: 日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。 本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。 「1人も解雇するな」を経営哲学としていた松下幸之助氏が創業したパナソニックホールディングス(以下、パナソニック)が、1万人のリストラを断行する。 黒字であるにもかかわらず、これほどの大ナタを振るうのは「社員1人当たりの生産性が高い組織」へと構造改革を進めるためだという。同社の楠見雄規社長は、少し前にあった2024年度の第3四半期決算発表会でも、こんな危機感を口にしている。 「当社は30年間成長できていない。投資をして一時的に
