ずいぶん昔の話になるが、ある障害者団体と付き合いがあった頃のこと。 戦時下に生れて、当時すでに40歳を過ぎていた人だったが、少年時代から過ごしてきたあちこちの施設での体験を話してくれたことがあった。 淡々とした口調ではあったが、若い頃にもっとも悩んだのが、異性に対する抑えきれない欲望だったそうで、その頃は悶々とした苦しい日々をずっと送っていたというような話だった。 今は、当時に比べれば「バリアフリー」だとかで、障害を持った人たちも少しは自由に外へ出たりすることもできるようにはなったようだ。障害者どうしや、障害者と健常者の夫婦で、子供を産み育てている人らもいる。 しかし、それでも今なお、多くのそういう人たちは、異性(同性でもむろんいいけど)と付き合う機会などほとんどなく、たとえ好きな人ができたとしても、自分にはその資格がない、ましてや結婚などできるはずがないと最初から諦めてしまい、自分の胸の