パロディ小説『吾輩はトイプードルである』 吾輩はトイプードルである。 名前はまだない。 どこで生まれたのかは、トンと見当がつかぬ。 吾輩が、はじめて飼い主を見たのは、変な物に乗せられて、ずいぶんと旅をした後であった。 後で聞くと、その飼い主、ブログという奇怪な世界に両足突っ込んだ種族で、アメリッシュとかいう。ブログ界内でも指折りのアホな種族であるようだ。 しかし、当時はなんとも考えなかった。 アホというものが、どういう生態をしているのか知らなかったからだ。ただ彼女の手のひらにのせられてスーッと持ち上げられたとき、なんだかふわふわした感じがあったばかりである。 しこうして、数年が過ぎ去るのは早かったと言わざるおえない。 まことに、年月というものは情に棹(さお)さして流されていく。 いつしか、この生活に慣れた頃、おのが犬であることを、ようやく忘却しはじめた頃である。それのみか、吾輩はトイプード