とつか町だよりにもコメントしたが、「者の中に点のある渚」と「者の中に点のない渚」とに関しては、「辻」や「龍」とは違う、また独特の問題があったりする。とりあえず、人名用漢字表とJIS規格票の周辺を追ってみることにしよう。 JISの原案にあたる『情報交換のための漢字符号の標準化に関する調査研究報告書』(日本情報処理開発センター, 1976年3月)では、29区78点に「点のある渚」が収録されていた。また、1976年7月30日に内閣告示された『人名用漢字追加表』にも「点のある渚」が収録されていた。つまりこの時点では、少なくとも内閣とJISの認識は一致しており、「点のある渚」が標準的な字体だったわけである。 ところが法務省民事局は、1976年8月20日に『法務省民二第4726号民事局第二課長依命通知』を全国の法務局長および地方法務局長あてに送付し、各支局長および市区町村長に周知するよう指示している。