札幌で、午前中に集中講義を入れず、時間を空けておいた日に思い立つ。「函」をよく用いる地域では、きっと「了」形が多く用いられていて、たくさん見られるはずだ、という仮説を抱き、それを確認しに出よう、と。 デジタルカメラと裏紙のようなメモ用紙を携えて、ふらりと駅へ出てみる。荷物が重いのは、ぎりぎりになっても遅刻せずに、そのまま講義に向かえるようにと考えると、やむをえない。 函館は思いのほか遠い。片道だけで8,500円以上とあり、これでは往復するだけで6時間以上、3講(東京でいう3限)までに戻れなくなる。北海道だけの地図では錯覚しそうになるが、さすがに広大だ。 そこで、札幌駅にあるJR北海道の路線図を改めて眺めたところ、「銭函」という駅名が目に入った。縁起がいい名前として聞いたことがあったと思う。函館ほどではなかろうが、そこでも必ずや「函」があちこちで使われているはずであり、生活の中で人々が用い、
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