『空色動画』でアニメーションづくりの楽しさ、感動、ワクワクを思いっきり描いた片山ユキヲ氏。 その片山氏の新作が題材に採るのは「朗読」。 朗読が漫画になるのか? そんな疑問は読み始めた途端にどこかに行ってしまいました。 主人公・佐倉ハナが出会った朗読の魅力。声が小さくて人前で話したりすることの苦手な彼女が、その「イメージ」の力・声の力で物語の魅力をぐいぐいと引っ張り出していくのです。 声を出して本を読む。それだけのことがここまで烈しく、熱く、やさしく、人の心を揺さぶる物語として描いてしまうとは! 読み手のイメージ、そして声によって物語から引き出された「力」が聴く者を強く揺さぶる様子は圧倒的ですらあり、また同時にとても心地良いものでもあります。 この1巻で扱われる物語は、国語の教科書で強い印象を受けた人も多いであろう宮沢賢治の『やまなし』。「クラムボンはかぷかぷ笑ったよ」で有名なあれ。 この作