ただ、菅前首相ら政治家のヒアリングが後回しになったことで、事故対応を巡る政府の意思決定の経緯については、未解明の点が多く残っている。 例えば、放射性物質の拡散を予測するシステム「SPEEDI」の情報が活用されなかった問題は、4月中旬、文部科学省などが官邸と協議し、一部の試算は混乱を招くおそれがあるため公表を控えることになったことが判明した。だが、官邸の関与の詳細については明らかにならず、調査を継続するとしている。 政治家のヒアリングについて、事故調は「周辺の事実関係を詰めてから」とするが、時間の経過とともに記憶が薄らぐことは避けられない。また、1人あたりのヒアリング回数は最低限にとどめるといい、「政治家に遠慮していると受け止められても仕方がない」と語る事故調関係者もいる。