飼料価格の暴騰によって酪農家はかつてない苦境を強いられています。その一方で、当事者ではない消費者の立場からは、その状況を想像しにくいかもしれません。今回は私の経営する朝霧メイプルファームの実際の数字を用いて、今現在の酪農業界が置かれている状況の深刻さを、リアルにお伝えしたいと思います。 未曽有の酪農危機 この連載では、私の経営する朝霧メイプルファームの生産管理や労務管理など、酪農現場の改善活動を中心に紹介しています。これまで紹介したさまざまな現場の工夫が、酪農家の経営改善の一助になればと思って記事を書いてきました。 しかし2022年の酪農業界を襲った危機は、酪農家の努力をすべて飲み込んでしまうほど深刻です。その危機の真っただ中にいる私は、天井の見えない飼料高騰の連続に、控えめに言ってパニック状態に陥っています。困窮する状況の中で改善活動を伝えていられる心境ではない、端的に言えば「それどころ