プロトタイピングは,利用者とともにシステムのプロトタイプ(試作品)を作って,仕様を固める開発手法である。その効果を出すには,プロジェクトのどの範囲をプロトタイピングでカバーするのか,仕様の最終的な取りまとめをだれがいつまでにやるのか,といった原則をあらかじめ決めておく必要がある。そうでないと,利用者の意見が収束せず,仕様がいつまでも確定しないといった事態を招く危険がある。 プロトタイピングと呼ぶ開発手法が使われ始めてもう10年近くになる。プロトタイピングは,システムの実際の利用者に設計過程からプロジェクトへ参加してもらい,意見を交換してシステムのプロトタイプ(試作品)を作り,仕様を固めていく手法である。 だが,実際に「役立つプロトタイピング」がどれだけ行われているかとなるとはなはだ疑問である。プロトタイピングの効果を,利用者に自由に意見を言わせて,それをできる限り取り入れようとすることだけ