クラシックの作曲家というのは、何か別の物語に触発されて作品を作りだすことが多くあります。もちろん、中には何もないところから旋律を生み出す才能あふれるメロディーメーカーな作曲家もいますが、たとえば、オペラなら台本や原作があり、歌曲なら詩があり、言葉のない器楽曲でも文学作品などにインスピレーションを得て筆を進める、ということは珍しくありません。 同時に、クラシック音楽は演奏時間も長く、歴史も長い音楽なので、なかには先人の残した曲を利用した「本歌取り」のような作品も存在しますし、自分自身の曲を後に改作・改定していくということもごく普通に行われます。 今日は、ロマン派の作曲家、フランツ・リストが「何回も」そのモチーフで曲を作りだした、「マゼッパ」を取り上げましょう。 最初はピアノ曲、40歳で「交響詩」に イヴァン・マゼッパは実在の人物で、17世紀に現在のウクライナに生まれています。コサックの棟梁と