12月6 蟹澤聰史『石と人間の歴史』(中公新書) 7点 カテゴリ:歴史・宗教7点 一応、カテゴリーは「歴史・宗教」にしましたが、著者は地質学者で岩石学や地球化学を専攻した人物。歴史学者が人間と石の関わりを叙述したのではなく、地質学者が石と人間の関わりを叙述したところにこの本の最大の特徴があります。 個人的に、石器時代の石の材質に関する記述とかは正直、楽しいものではありませんでした。いくら石器時代とはいえ、別に石の性質なんかどうでもいいじゃないかと思ったものです。 ところが、この本を読んで世界各地の石の性質とそこに建てられた建造物や、文化を見てみると石の性質の重要性というものがわかってきます。 地中海の建築物に石灰岩や大理石は欠かせませんし、イギリスでは岩石が露出している部分が多く表土が薄いために材木となるような樹木は少ないなど、文明の姿を決める一つの要素が地質や石の性質だということがわかり