ドイツの哲学者ヴァルター・ベンヤミンが「複製技術の時代における芸術作品」を著したのが'36年。複製技術が1900年を境に1つの水準に到達したとし、同時代の芸術に論究する有名な論文だ。 ●作品のアウラ ベンヤミンは「複製技術の進んだ時代の中で滅びてゆくものは作品のアウラである」とし、「このプロセスこそ、まさしく現代の象徴なのだ」とする('70年高木久雄、高原宏平訳・晶文社)。ベンヤミンは、「ほんもの」という概念は「いま」「ここ」にしかないという性格によってつくられるともいっている。でも、ぼくらが日常接している現代芸術の多くは写真や映画などを含め、その多くは複製技術に基づくもので、「ほんもの」という概念がずいぶん希薄になっているように見える。 日本ヒューレット・パッカードは、財団法人京都国際文化交流財団と提携し、芸術文化遺産のデジタルアーカイブ事業を推進している。その一環として、今回は、京都・