現代企画室編集長・太田昌国の発言のページです。世界と日本の、社会・政治・文化・思想・文学の状況についてのそのときどきの発言が逐一記録されます。「20~21」とは、世紀の変わり目を表わしています。 (一) 去る11月16日、米国の経済学者、ミルトン・フリードマンが死んだ。一ヵ月後の12月10日には、チリ軍事政権時代の独裁者、アウグスト・ピノチェトが死んだ。 フリードマンは94歳、ピノチェトは91歳だった。天寿をまっとうした人生だった、とするのが、この世の常識的な捉え方ではあろう。 だが、ここでは、そうはしない。生物学的な死を迎えたこのふたりには、私の考えでは、いずれ、二度目の死を死んでもらわなければならない。しかし、なぜ? そして、墓掘り人は、どこにいる? この文章では、そのことを考えてみたい。 ピノチェトが指揮したチリ軍事クーデタ(1973年9月11日――世界現代史には、こんな「9・11」