→紀伊國屋書店で購入 「巴里の光と影」 今パリには旅行者を除いても、常時2万人以上の日本人が滞在しているらしい。在仏日本人会も機能しているし、日本料理店は1千軒ほどもあるようだ。最もその9割以上は、日本食ブームに乗りたい輩の経営する「和食もどき」を提供しているが。金子光晴の『ねむれ巴里』は、1929年から2年間に渡るパリ滞在記である。日本人会も無く、和食など炊いた白米に生卵があれば上等といった時代の、はぐれ者たちのパリ生活は非常に興味深い。 先にパリに着いている妻の三千代に合流するために、何とか船賃を手に入れて乗船する。船の中も面白いが、パリでの破天荒な生活は見事だ。ほぼ文無しなので、金を手に入れるために何でもやる。会費の取立て、額縁作り、論文代作、大使館員への詐欺……そしてパリ、フランス人に対する強烈な悪罵。「頭を冷やしてながめれば、この土地は、どっちをむいても、むごい計算ずくめなのだ。
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