http://ci.nii.ac.jp/naid/110006825822 最近初めて読みましたが、傑作ですね。ポスドク問題の「救いのなさ」を、元当事者の視点から鋭く切り取ったエッセイです。ポスドク本人、大学、行政、社会の無理解、そのどれかに責任を押しつけて済むような単純な話ではなく、深刻な構造的な問題であるということがよくわかります。 「良い研究ができれば気分の問題などは関係なくなる」 確かに一つの真理であるが、残念ながらこれは気分の問題などではない。 「自分の若い頃はそれは大変な苦労をしたものだ」 一円あればタクシーで東京中を走り回れた時代の話などは誰も聞いていないのだし、そもそも何の関係もない。 今の大学はただ常識的に生き続けることさえ困難な体制に移行しつつある。ただ、生き延びられる人が生きて研究を続けられることを祈るだけだ。多分、この言も定年までの任期を持つスタッフの方々の心には響