先日,岡本太郎の「青春ピカソ」という本について,エントリを書いた.この本は,160ページ程度の薄い本なのだけれども,刺激的でまた考えさせられる内容に満ちており,読むたびに強い感銘を受けてしまう.今回のエントリでは,前のエントリでは書けなかったことで,いつも共感する内容を一つだけ書いておきたい. 「鑑賞と創造」という節で,岡本太郎は以下のように主張する. いったい芸術において単に眺めるという立場があり得るだろうか.真の観賞とは同時に創るということでなければならない.観ることと創ることは同時にある.(中略) 創るとは決してキャンバスに向かって筆をとり,絵の具を塗ることだけではない.それはまったく形式的で素朴な考えだ.己れの世界観に新しいホリゾンを打ち開くことが実はクリエートなのである.真に芸術作品に対した場合,鑑賞者は己れの精神の中に何らかのセンセーションによって,新たに何ものかが加えられる.