「基督教に関する図書及び修養に資する一般図書の出版販売」-これは教文館の定款第1章に記載されている1項である。 2005(平成17)年5月、全国の「書店の灯を消すな」と叱咤(しった)した先代、中村義治氏のあとを継ぎ、9代目社長に就任した渡部満さん(62)は、この「修養に資する」という文言に注視した。 「修養に資するとはどういうことなのか?」。導き出した結論は「本は、教養というレベルではなく、人格形成に役立つものでなければならない」というものであった。「元々、本とはそういうものだった」と渡部さんは過去形で話す。本が売れない時代にあって、なお「(本の)コンテンツの質が低下している」と危惧するからである。 「人文関係の本は売り上げが厳しい」ことを承知の上で、それでも「良書」の品ぞろえにこだわる。これが教文館の代々受け継がれてきた「精神であり使命」だとクリスチャンの渡部さんは明言した。 教文館は、
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