一年の初めに、幸せについて話をしようと思う。ぼくたちはふだん真面目な顔をして幸せのことを語ったりしない。そういうことは少しばかり気恥ずかしいと思っている。そうだろう? でも、今日は新しい一年が生まれた神聖な日。いくらか襟を正して話をしてみてもいいはずだ。 それにしても、いまの日本で「幸せ」のことを語るのは何だかためらわれる。それだけ、社会全体が閉塞感に包まれ、誰もが出口を見失って走っているように思える。ぼくたちはいま、「幸せ」よりも「不幸」のことを実感をもって語れるように考えがちだ。しかし、だからこそ「幸せ」には語るだけの価値がある。そう思う。 ひとが「幸せ」を実感するのはどんな時だろう? それはおそらく、何かしらの望みが叶った時だろう。欲望が満たされた時、と言い換えてもいい。長年望み続けたことが現実になった時、ひとは魂の充足を感じるものだ。 より一般的な「幸福」のイメージとしては、多少俗