「ほとんどのがんの基礎研究者は、新薬を一生で一つも作れない」と記事にあるが、実際にそうなのだろう。漫画「フラジャイル」の67話にも、「新薬は一生にひとつ作れば天才と言われる世界」とあった。 それでも、研究者は、新薬を一生で一つも作れないだろうと分かっていても、こつこつと研究を続けていく。それを聞くと、私は震えるほどに感動するし、本当に頭が下がるような思いがする。私自身もそうありたい。 しかし、頭を冷やしてみれば、研究者でなくても、一生を費やしたいというものを持っている人は多いだろう。そうして、前にも書いたが、芥川の言葉を思い出すのである: 人間は、時として、充されるか充されないか、わからない欲望のために、一生を捧げてしまう。その愚を哂(わら)う者は、畢竟、人生に対する路傍の人に過ぎない。 芥川龍之介「芋粥」 人生は、人それぞれだ。他人の人生は分からない。そもそも自分の人生すらよく分かってい
![2020年5月29日 / 報われないことに一生を賭ける|mshkh_note](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/74a5dfda92523dec8c03005502337e6ed4013342/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fassets.st-note.com%2Fproduction%2Fuploads%2Fimages%2F2845026%2Fprofile_6c52ef93f46121c7cd2da5d1836da122.jpg%3Ffit%3Dbounds%26format%3Djpeg%26quality%3D85%26width%3D330)