1人の女性が一生に産む平均子ども数である合計特殊出生率が2003年に1.29と戦後最低になったとのニュースを見て、私の上司が「女性がみんな働くからこうなるんだ」とポロリと言ったことがある。こんな発言はどうでもよくて、赤提灯に行けばオヤジさんがよく口にする論評である。ところが、このような意見で市井ではよく聞くが、マスコミや学者の方が口にしたのを聞いたことがない。世に言う保守派と呼ばれる論客の方々さえ、育児支援等を口にし、「女性は家庭へ」という方はなかなかいないのが不思議である。 やはりこの問題に関しては強い進歩的脅迫観念が働いていると思われる。つまり「女性が働くのをやめ、専業主婦をやり、子供を生むべきだ」という思想が時代遅れ、啓蒙されていない人間の発言、教養のない人間の発言だという観念がすでに固定化してしまっており、本音ではそう思っている人も、自分がそういう人間と思われたくないとの強迫観念が