かつてアドベンチャーゲームは2人称の語りによって進行するものだった。すなわち状況描写は必然的にプレイヤーを"あなた(You)"と称する。これはRPG(非CRPG)に準ずる為であり、かつてのゲームというのは冒険者である"私"の意志、その行動は"入力"に過ぎず、それによって結果が"出力"されるということは、対面に位置するゲームマスターの口を通していたからである。 大学生達によるビデオゲーム開発が花開いた1970年代。ビデオゲーム開発がまだインダストリから遠く離れたプリミティブな存在であった時、世界初のアドベンチャーゲームであるColossal Cave Adventure(あるいは単にAdventureと呼ばれる)が生まれた。あの頃のコンピュータゲームがメインフレーム上で走っていた事もこの2人称の語りを定着させる一つの要因であったといえよう、ターミナル(端末)からコマンドを入力してメインフレー