ブックマーク / pencroft.hatenablog.com (11)

  • 「牛久」 我々は税金を払っている。彼らが殺されているのに(追記あり) - 挑戦者ストロング

    この1年ほど待ちに待っていたドキュメンタリー映画「牛久」をようやく観た。当初は「牛久 比類なき不正義」というタイトルだったが、サブタイトルは削ったようだ。以下、Cinemascapeに書いた感想。 良心的納税拒否をしたくなる なんじゃそりゃ、と思われるだろうが、ちょっと言葉を失っていたので仕方ない。要するにこの国がイヤになるぜってことだ。正直言って、映画の内容はほぼ予想通りだった。もともと入管に問題意識を持ってて報道やドキュメンタリーを気にかけていた人なら、だいたい知ってることばかりだ。にも関わらず、これは凄い映画だった。映画の力というものを強烈に思い知らされた気がしている。 映画の力といってもスカした評論家の言うポエム的なやつではなく、ただ画面がデカいこと。音声がデカいこと。まっすぐこちらを向いた彼らと、暗闇の中で対峙すること。一時停止できないこと。早送り、巻き戻しもできないこと。あらゆ

    「牛久」 我々は税金を払っている。彼らが殺されているのに(追記あり) - 挑戦者ストロング
  • 映画「香川1区」 未来は先の見えないハイウェイ - 挑戦者ストロング

    香川1区 [DVD] 小川淳也Amazon 長いけど、前作の感想を貼っておく。今作の感想はもっと長いのだが。 pencroft.hatenablog.com またしても自分語りになるのを平にご容赦いただきたい。前作は「わたくしが高松にいなかった17年」を描いた作品だった。しかし今作は「わたくしが高松で暮らす中の直近の1年」を描いている。その映画が高松で公開される。これはやはり興奮せざるを得ないのであります。 文化果つる辺境の地・香川県には現在、一般映画館は4館しかない。2スクリーンのミニシアター「ホール・ソレイユ」と、7~9スクリーンの「イオンシネマ」が3館(高松東、綾川、宇多津)である。あとは成人映画専門の「ロッポニカ」(この響きにグッとくるのはおっさんだけだろうな)。「香川1区」は2022年1月21日、県内の4館すべてで同時公開された。これは極めて異例の事態である。さて香川1区に住むオ

    映画「香川1区」 未来は先の見えないハイウェイ - 挑戦者ストロング
  • 「シン・エヴァンゲリオン劇場版」にモヤモヤ - 挑戦者ストロング

    「シン・エヴァンゲリオン劇場版」、観てきました。エバー終わるんですって。イヤですね。めんどくさいですね。憂ですね。観たくないですね。しかしまあしょうがないので観てきました。 シン・エヴァンゲリオン劇場版 緒方恵美Amazon DVヒモ野郎が更生したからって褒めちぎるのかという問題 (★3) 白状するとエバンゲリヨンでわたくしが何より好きなのは、自動ドアから巨大兵器に至るまでありとあらゆる無機物の美しい機構がキビキビと動く、刹那の快楽の積み重ねである。このフェティシズムだけはテレビ版から今作に至る四半世紀、世界チャンピオンとして防衛戦を重ね、長期政権を築いてきたと思っている。後のアカデミー賞監督が撮った「パシフィック・リム」の、イェーガー操縦システムのどんくささを思い出してください。あれが普通の人が思いつくやつです。庵野秀明は全然普通じゃない。エントリープラグが軸回転しながら挿入される動き

    「シン・エヴァンゲリオン劇場版」にモヤモヤ - 挑戦者ストロング
    msrkb
    msrkb 2021/03/29
  • 「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-」 - 挑戦者ストロング

    イオンシネマ綾川にてヴァイオレットちゃん。あの事件がなければ劇場で観ることはなかった筈なので、不純な動機による鑑賞といえる。 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -[Blu-ray] 石川由依Amazon ヴァイオレット・エヴァー外伝 (★2) 感想を書く前にハッキリさせておかねばならぬことがある。オレは2018年のテレビシリーズ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は観ており、美麗なビジュアルに驚嘆しつつも作品への評価は甚だ低く、ゆえにこの外伝も劇場で観るつもりは全然なかったのである。にも関わらず劇場に足を運んだのは、2019年7月に忌まわしき放火事件が起こったためだ。あんなことがなければ、この作品はスルーしていた筈だ。つまりこれは京アニへの募金の延長線上にある行為であって、きわめて不純な鑑賞動機だと自覚している。 事件の舞台が京アニだろうとどこであろうと、酷い

    「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-」 - 挑戦者ストロング
  • フィクションにおける「思う壺」問題について - 挑戦者ストロング

    小説マンガ映画にアニメ、テレビドラマはほとんど観ないが、わたくしが摂取するフィクションのおよそすべてにおいて気にしているというか、考えてしまうというか、どうにも気になってしまうある基準が自分の中にある。それはここ十数年でだんだんハッキリしてきたものだ。この折にそのことを書こうと思うのだけど、今これを読んでいるそこのあなた、あなたはそんな知らんおっさんのどうでもいい内心など興味ないと思われることでしょう。それも当然だ、読まなきゃいい。でも書くのだ。 簡単に言えば、フィクションの中で(多くの場合)肩入れすべき主人公格の人物が、他者の「思う壺」になっているさまを見ると気になる、イライラする、時に作品自体を嫌いになる、まれに作者まで嫌いになる、ということがオレにはよくあるのだ。「思う壺」を「良しとする」作品を、好きになれないのだ。 アンタッチャブル スペシャル・コレクターズ・エディション[Amaz

    フィクションにおける「思う壺」問題について - 挑戦者ストロング
  • 大仁田厚の私的な世界 「Monja」 - 挑戦者ストロング

    Monja [DVD] 出版社/メーカー: 開発品メーカ発売日: 2006/12/22メディア: DVDレンタルDVDで、2006年の日映画「Monja」を観る。原作・監督・主演が大仁田厚。公開時のキャッチコピーは 「昔、ロックスター 今、ろくでなし みんなまとめて もんじゃ焼き」 なかなか難解な作品なのである。 大仁田は2001年から2007年まで自民党の参議院議員だった。この映画が撮影されたのは2005年で、公開は2006年。あのー、よく知らないんだけど、国会議員ってのは任期中に映画の監督や主演ができるほどのヒマがあるのだろうか。まあでも、大仁田だからいいのか。 冒頭、ラジカセから流れるラジオの音。リクエスト曲は「マサ&ブルースカイ」で「リバーシティ」。曲が流れる。「リバー… うぉうぉう… リバー… うぉううぉういぇい… いぇいぇいぇい…」 タバコに火をつけ、なぜかジャックダニエルの

    大仁田厚の私的な世界 「Monja」 - 挑戦者ストロング
  • 夜を這うもの「ナイトクローラー」 - 挑戦者ストロング

    ナイトクローラー [Blu-ray] 出版社/メーカー: ギャガ発売日: 2016/02/19メディア: Blu-rayこの商品を含むブログ (16件) を見る BDで「ナイトクローラー」鑑賞。ネタバレありますのでご注意を。 「遠い空の向こうに」の夢見る少年ジェイク・ギレンホールが、こんなになっちまって。(★3) 法を犯してでもネタを撮る、フリーの報道カメラマンを描いてなかなかの切れ味。クズな心性のまま、コソ泥から脱法パパラッチへの華麗なる転身と成功。ウンコ風味のライズ&ライズ。この映画がいわゆるピカレスクロマンとちょっと違うのは、彼はネットで覚えた安っぽいビジネス訓や人生訓をよく口走るんだけど、あれたぶん当に信じてるんだよな。彼は自覚的に手を汚す悪漢「ではない」、「ゆえにタチが悪い」のである。たとえちゃマズいが、ワタミの創業者さんみたいなもんですね。 クライマックスで撮影した映像をレネ

    夜を這うもの「ナイトクローラー」 - 挑戦者ストロング
    msrkb
    msrkb 2016/08/23
    「正直言って2014年の作品としてはちょっと古いなと感じたのも事実だ。なぜならジェイク・ギレンホールは専業でしょう。現代の先っちょは、もう違うんだよな。」なるほど確かに。
  • 庵野秀明の「シン・ゴジラ」 - 挑戦者ストロング

    昨晩、「シン・ゴジラ」観てきました。新宿のTOHOシネマズだったんだけど、上映後に拍手が起こりましたよ。 シン・ゴジラ Blu-ray2枚組 長谷川博己Amazon 以下は感想、ネタバレあり。まだ観てない人は絶対に読まないように。 庵野秀明、棒読みで早口な「未来への祈り」  (★4) 樋口真嗣の「進撃の巨人」実写版に呆れ返った観客である自分は、この映画を庵野秀明個人の映画として認識するしかない。むしろ自分がこの映画を観る理由は、庵野秀明という男にしかなかった。 庵野秀明という作家の純粋性は、疑いようもない。正直な作品を作るためなら観客にDVかますくらいは致し方なしとする表現者であり、たとえ国を滅ぼすとしても零戦を設計する男なのである。先人たちが築いてきた特撮映画群は彼の精神の根幹を占めるものであり、やるとなったら死ぬ気で作るであろうことは容易に想像できた。「エヴァンゲリオン」の如き私小説

    庵野秀明の「シン・ゴジラ」 - 挑戦者ストロング
  • 「機動戦士ガンダムUC」の完結と、なぜか「Z」 - 挑戦者ストロング

    先日、4年がかりのOVAシリーズ「機動戦士ガンダムUC」が全7作をもって完結した。 機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) [Mobile Suit Gundam UC] 1 [Blu-ray] 出版社/メーカー: バンダイビジュアル発売日: 2010/03/12メディア: Blu-ray購入: 51人 クリック: 844回この商品を含むブログ (159件) を見る 福井晴敏による原作小説は読んでいない。完結編の第7章を観るのとほぼ同時に、偶然しばらく前から観かえしていた「機動戦士Zガンダムテレビ版全50話も観終えることとなった。両作を観終えた感慨は実に深く、いろいろな意味でZとUCは対照的な作品であったのだなあと思う。 機動戦士Zガンダム メモリアルボックス Part.I (アンコールプレス版) [Blu-ray] 出版社/メーカー: バンダイビジュアル発売日: 2008/12/19メディ

    「機動戦士ガンダムUC」の完結と、なぜか「Z」 - 挑戦者ストロング
  • 「かぐや姫の物語」 追記 - 挑戦者ストロング

    「かぐや姫の物語」を自分は大いに気に入ったものの、友人や世間の反応は案外そうでもなく、平均的には「いいんだけどそれほど好きでもない」といったところだろうか。あの水彩画・スケッチ的なビジュアルに関しても、ああいうアニメを作るのは大変なのかもしれんけど、それが特に嬉しいかといえばそうでもないという反応。まーデジタル技術を駆使してアナログ風ルックを獲得するというのは一種の酔狂で、マイケル・チミノが巨額の予算を投じてわざわざ貧乏臭い風景を完全再現した「天国の門」にも似た壮大なる愚挙なのかもしれない。高畑監督にとってはセルアニメのシステムは絵を動かすための妥協の方便だったのかもしれないが、こちとらガキの頃からのセルアニメ育ち。背景から浮き出した、クリアな描線でパキパキに塗り分けられた美麗なキャラクターこそがアニメにおけるゴージャスであると見做す文化的コードが脳髄に染みこんでいるのも事実である。 「か

    「かぐや姫の物語」 追記 - 挑戦者ストロング
    msrkb
    msrkb 2013/12/05
    「好きな映画でも愛せる映画でも暖かい映画でもないが、凄い映画だったと思うよ」これにつきるなー。
  • わたくしの中の暗黒神話体系 - 挑戦者ストロング

    今回は、心当たりのない人にはまったく訳の判らぬ話である。訳が判らんと思った人は速やかにブラウザのタブを閉じて、このブログと僕のことを忘れてください。 先日、はじめて「ヨコ出し」こと「ヨコハマ買い出し紀行」というマンガを読みまして。これは多くのマンガ読みに絶賛され、傑作と評される作品であります。 ヨコハマ買い出し紀行 1 (アフタヌーンKC) 作者: 芦奈野ひとし出版社/メーカー: 講談社発売日: 1995/08メディア: コミック購入: 2人 クリック: 113回この商品を含むブログ (96件) を見る 全14巻で完結してる作品なので一気に読んだが、実際はこれ月刊のアフタヌーン誌で12年にわたって連載された作品である。12年これにつきあうってのは、なんとも凄いなあと思う。面白くないのかと問われれば、正直言って面白かった。ただ、何よりも「あー、これ暗黒神話体系のド真ん中に位置する作品だなあ」

    わたくしの中の暗黒神話体系 - 挑戦者ストロング
    msrkb
    msrkb 2010/04/24
    「〈童貞〉騎士物語」から主人公たる〈童貞〉騎士を取っ払うことで、思慕の対象と読者が直結され、読者自身が〈童貞〉騎士になれる物語、ということだろうか。/個人的には黄昏ポルノと呼んでます。
  • 1