[Book] トーマス・ヘイガーの「大気を変える錬金術――ハーバー、ボッシュと化学の世紀」 トーマス・ヘイガー著「大気を変える錬金術――ハーバー、ボッシュと化学の世紀」を読了した。 この本は中西 準子先生の書評で知ったのだがこれは評判通り凄い本だった。 内容は空気からパンを作る技術、つまりフリッツ・ハーバーとカール・ボッシュが完成させた窒素固定法(ハーバー・ボッシュ法)に関する科学技術史の解説だ。 一応理系なのでハーバー・ボッシュ法は知っていけど、窒素固定法が発明される前の前史、ハーバーとボッシュが発明以降に辿る数奇な運命はほとんど知らなかった。 ヨーロッパは火薬の原材料や農業生産性を高めるための肥料として硝石を必要とする。 人間の尿を集めることである程度硝石を集めることが出来たが、それでは足りない。 自然の中にある硝石の鉱脈を求めて世界中が探索される。 やがてペルーのグアノ(海鳥の糞由来