日本の住戸の空き家率が上昇し続けている。人口減少局面を迎えた日本における「空き家」問題に対応するには、空き家の利活用や、中古住宅取得促進策の拡充が急務だ。 戦後の住宅政策—一貫して上昇を続ける「空き家」率 2013年の日本の空き家数は820万戸、空き家率は13.5%と過去最高を記録した。多くの国では空き家率は経済状態によって上下に変動するが、日本の場合、戦後一貫して上昇し続けてきた。この背景には、住宅建設を促進してきた戦後の住宅政策がある。 戦後の住宅不足、その後の高度成長期の人口増加に対応するため、日本では持ち家取得が奨励された。住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構)が低利融資を行い、住宅ローン減税の仕組みも設けられた。大量に新築住宅が供給される中、住宅の質の確保は不十分となっていった。それでも高度成長期には地価は右肩上がりの上昇を続け、建物の価値はなくても土地の価値は十分残るため、人々に