「花形」から「ベンチャー」社員への転身 元テレビ朝日アナウンサー 大木優紀=ノンフィクションライター・石戸諭〈サンデー毎日〉 大木優紀さん 「今、飛び込んだ方が楽しい」 閉塞感の漂う時代に「風穴」を空けようとする人々を訪ねる隔週連載「挑む者たち」。3回目は、大手メディアの「花形」とも言えるテレビのアナウンサーを辞め、設立されたばかりの旅行代理店の社員に転身した女性が主役だ。決断はどのようになされたのか。 日々どこかから流れてくる誰かの成功譚(たん)や人生の教えをスマートフォンで読みながら、もしかしたら……と思ってしまう瞬間が、たぶん誰にでもあるはずだ。あの時、自分だって決断していたら違った人生があったのではないかと思いながら、日々の慣れ切った仕事へと向かう。なにもかもが新鮮だった時期はとっくに遠のき、鋭敏だったはずの感性はすっかり鈍くなる。周囲の人たちが昨日までの延長線を仕方ないと思いなが