このところ中国外交は失点続きである。中国のあまりに強引な姿勢が嫌気を誘い、台湾に独立志向の強い民進党の 蔡英文 ( ツァイインウェン ) 政権が誕生した。5月に日本で開かれた主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)では南シナ海における中国の海洋進出問題が取り上げられ、首脳宣言に「懸念」が盛り込まれた。欧州ではこれまで親中派と見られていた国々が距離を置き始めている。今月7日には東シナ海で中国軍機が米軍機に異常接近した。国際社会の「懸念」には耳を貸さず、強硬姿勢を続けてきた中国だが、世界のあちこちで静かに「中国離れ」が進行している。この背景を中国事情に詳しい北海道大学公共政策大学院専任講師の西本紫乃さんに分析してもらった。 香港、台湾に現れた変化 6月4日、天安門事件から27年のこの日、香港では今年も事件で犠牲になった人々に対する追悼集会が開かれた。参加者の数は12万人にも上ったが、昨年と比べて1割