■ 宇賀克也「個人情報保護法の逐条解説」第5版を読む・前編(保護法改正はどうなった その5) 宇賀先生の大著「個人情報保護法の逐条解説」(有斐閣)の第5版が11月に出版され、その中で拙稿(ビジネス法務16巻11号の特集「改正 個人情報保護法への最新対応」中の「改正はデータ利活用を促進するか――匿名加工情報の制度概要と匿名加工基準の規則案」)についても参照して頂いている*1と聞き、早速読ませて頂いた。すると、参照して頂いた部分とは別に、いくつか重要な第4版からの変更点が見つかった。また、法改正に伴って加筆された匿名加工情報関係のところにも、重要な論点となる部分があったので、これらについて私の考えをここに書いておく*2ことにする。 識別と特定が区分された 2条1項の「当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等……により特定の個人を識別することができるもの」の解説部分(38頁)に、なんと、以