京都アニメの放火事件のニュースは、他人事と思えぬ胸の痛みがあ った。「涼宮ハルヒの憂鬱」を作った会社であり、これはシリーズ第 一作であり、おれが解説を書きオビにもなっている。死んだアニメー ターたちは若い子ばかりであったというが、悲しくてならない。なん でそんな若い子が、と思い、屋上に逃げようとした子たちが、ドアに 鍵がかかっていたので逃げられず、折り重なって十九人も死んだとい うに至っては、こっちまで苦しくなり、叫びそうになった。貴志祐介 のサイコ・ホラー「悪の教典」にも、屋上への扉が開かずに大勢が殺 されるのだが、そんなフィクションが現実になる世界なのだとつくづ く思い知らされた。どんなに苦しかったことか。「死にたくない」と 思い、「ここで死ぬのは、こんな死に方はいやだ」と思ったであろう ことを想像すると、胸を掻き毟られるようである。 「おれの小説を盗んだ」「パクリやがって」という犯人