「私が見ていなくても、月はそこにあるはずだ」――。アインシュタインはかつてこう語り、量子力学への不満を示した。20世紀に登場した量子力学では、物体の「位置」は実際に測定されるまで値がない。つまり見ていない時点の月がどこにあったかは決まらないのだ。この量子力学における長年の"常識"を問い直す動きが出てきた。振り返れない量子力学ひとたび物体が「そこにある」という測定結果が得られたら、過去にどこ
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第1部「ミクロの世界の謎」 光は波なのに粒々だった!? なぜ量子力学が必要か ド・ブロイ波 シュレーディンガー方程式 波動関数の規格化 期待値 不確定性原理 3次元の波動 粒子性の正体 確率流密度 時間に依存しない方程式 調和振動子 原子の構造 シュレーディンガーの猫 ウィグナーの友人 第2部「行列形式をマスターしよう」 完全規格直交系 ブラ・ケット記法 ユニタリ変換 座標表示 運動量表示 演算子は行列だ ここまでのまとめ 摂動論 摂動論�U(縮退がある場合) 遷移確率 第3部「角運動量とスピン」 角運動量の演算子 量子数の意味 角運動量の行列表現 スピンとは何か スピンの振る舞い スピノル(イメージ重視) スピノル�U(形式重視) ベルの不等式 合成則 第4部「相対論的量子力学」 クライン・ゴルドン方程式 ディラック方
波動関数はベクトルだ 前回は「完全規格直交系」について学んだ。 今回はこれを波動関数に応用してやる話だ。 範囲の制限はあるものの、 あらゆる形の関数が完全規格直交系の係数の組で表されるというので、 同じように波動関数もベクトル表現してやろうではないか。 ただ前回と少し事情が違うのは、 波動関数というのは位置や時間の変数に対して複素数を返す関数であるという点である。 しかしこれは全く問題がない。 前回の説明に出てきた係数 が複素数になっていると 考えてやればいいのである。 これだけで分かる人はいいのだが、 中には納得したつもりになっているだけの人もいるだろうから ちゃんと詳しく説明しておくことにしよう。 波動関数を実数部分と虚数部分に分けて考えることにする。
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