平野啓一郎からのメッセージ 「ページをめくる手が止まらない」小説ではなく、 「ページをめくりたいけどめくりたくない、 ずっとその世界に浸りきっていたい」小説を書きたいと、いつも願っています。 小説の読み方は自由です。 物語を楽しむ人もいれば、登場人物に共感する人、文章の美しさを求める人、 時代を理解したい人、新しい思想を期待する人、……と、様々です。 すべての要素が調和して、 日常と非日常とが結び合わされる世界が体験されるならば、理想的でしょう。 何かとくたびれる世の中ですが、 小説を読むことでしか得られない精神的な喜びを、 これからも追求していきたいと思っています。