新横浜─小田原間を走行中の東海道新幹線「のぞみ265号」で発生した殺傷事件。小島一朗容疑者(22才)は、「なた」を振るって乗客に襲いかかり、男性1人が死亡、女性2人が怪我をおった。亡くなった男性の名前は、梅田耕太郎さん(享年38)。横浜での出張を終えて、「のぞみ265号」に乗り、妻の待つ兵庫県尼崎市のマンションへと帰る途中の惨劇だった。 梅田さんは乗客に襲いかかる容疑者を後ろから羽交い締めにして押さえ込み、その間に多くの乗客が逃げたという。しかし、最終的に梅田さんは、凶刃に倒れてしまった──。 三浦綾子の『塩狩峠』(1966年)は実際に起きた鉄道事故に基づいて書かれた小説だ。塩狩峠(北海道上川郡)を越えたところで汽車が暴走。満員の乗客の命を救うため、鉄道職員の主人公・永野信夫が自らの体を線路に投じて、列車の下敷きになることで車輪を止める。永野も、作者の三浦自身も熱心なクリスチャン。「自己犠
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