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2021年5月28日のブックマーク (1件)

  • 短編小説:月とナポリタン|きなこ

    ☞1 僕に兄がいたのは小学校1年生から4年生の3年間の間の事だ。 父が勤めていた建設会社から独立して、何人かの仲間と古いマンションや中古住宅をリノベーションする事業を始め、それが当たってとても忙しくしていた頃、温かな雨の降る春の雨の夜に突然、父は家に妙に髪の色の赤い女の人と、そして髪を短く刈り込んだ男の子を家に連れて来た。 当時、僕は小学校に入学したばかりで、実の母親を1年前に亡くしていた。それで、手元に残された僕とその周辺に色々と手の行き届かなくなった父が、継母と兄を僕に用意した。父にはそう説明を受けた。 「この人がお母さんで、こいつがお兄ちゃんだ。これからお前の面倒を見る」 実際、僕には小学校に入学する日の朝、ランドセルが用意されていなかった。 「オマエ、なんさい?」 あの年の春は、温かくなるのがとても早かった。桜前線は3月の半ばに僕の住む街にやって来て、4月が来る前に、初夏の日差しが

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