「今回の新型コロナウイルス感染拡大が起きるまで、私たちは『感染症』という、都市における最大のリスクを忘れてしまっていたのです」 筑波大学准教授で、都市社会学や地域社会学を専門とする五十嵐泰正(やすまさ)さんは、こう語る。 東京都の「新型コロナウイルス対策サイト」によれば、これまでの東京都内の新型コロナウイルス陽性者数の数は計12,228人と、全国でも圧倒的に多い(2020年7月30日時点)。 「都市」が持つ価値が一転してリスクに 五十嵐さんによれば、そもそも都市の定義は「異質性の高い人が高度に集積した場所のこと」だという。都市には、地方の農村部などにはまずいないような職業の人も多く暮らし、その中で新たな文化も生まれる。さまざまな国籍の人やセクシャルマイノリティなどもいて多様性があり、人々が流動的に出入りしている。 「不特定多数の人々が集まる」ことで、犯罪や公害、交通渋滞などの問題も起きてい