忙しくて書類作りを忘れた――。千葉県野田市で死亡した小学4年、栗原心愛(みあ)さん(10)を自宅へ戻すことを了承した、県柏児童相談所の判断を示す書類がない。その理由を担当の児童福祉司はこう説明したという。子どもの生死につながる判断の重要書類を残していないずさんさ。背景には、児相が抱える慢性的な問題が浮かび上がる。 心愛さんは2017年11月、父親の勇一郎容疑者(41)=傷害容疑で逮捕=の身体的虐待を疑った柏児相に一時保護され、解除後の12月末からは親族宅で暮らしていた。 翌年2月26日、勇一郎容疑者は心愛さんに「お父さんに叩(たた)かれたというのは噓(うそ)」と書かせた書類を柏児相の職員に見せ、「きょう連れて帰る」と要求。柏児相は、その2日後の「援助方針会議」で心愛さんの一時保護を検討したが、「虐待の再発は認められない」として帰宅を了承したという。 ところが、「会議録」には「帰宅を了承」と