神の糸と呼ばれる貴重なパスタ──ス・フィリンデウ(イタリア) サルデーニャ島では年に2回、巡礼者たちが夜通しかけてヌーオロ市からルーラ村まで歩く。寝ることも泊まることもせず、時には数百人、数千人が歩き続ける。30キロも歩くと、サントゥアリオ・ディ・サン・フランチェスコ(聖フランシスコの聖地)の入り口に到着する。ここがゴールだ。 巡礼者が歩いてきたのは、聖地そのものを見るためではなく、世界で最も珍しいパスタを食べるためだ。サルデーニャ語で「神の糸」を意味するス・フィリンデウは、恐ろしく複雑なパスタで、現在このパスタを作れる人は3人しかいない。全員サルデーニャ島に住む親戚同士で、年に2回しかない聖フランシスコの祝日に訪ねてくる巡礼者のために、毎日パスタを作り、蓄えているという。ヌーオロでは、300年近く前からアブレイニ家の女性たちがこの伝統を受け継いできた。 材料は、セモリナ粉と水と塩だけ。盛
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