「半導体マスクパターンの最適化設計にイジングマシンが適していることを見いだした。試したところ、効果を確認できた」との連絡を記者は受け取った。イジングマシンは、量子コンピューター(量子的な振る舞いを活用するコンピューター)の一種である。生成AI(人工知能)ブームに押されて最近やや影が薄くなっている量子コンピューターだが、現在のコンピューター(いわゆる古典的コンピューター)にはない潜在力を持つ。先端半導体はトランジスタ数が膨大であり、その設計は複雑だ。新たなコンピューティング技術の活用は重要である。 本題に入る前に、量子コンピューターとイジングマシンの関係を簡単に見ておく(図1)。量子コンピューターには量子ゲート型と量子アニーリング型がある。前者は、汎用性は高いが実用化は当分先。一方、後者は組み合わせ最適化問題に特化しているが、すでに商用マシンがある。ただし、扱える問題の規模は大きくない。量子