開会式は、好意的に受け止めた 案の定、セレモニー終了後は国内外で酷評が相次いだ。が、会場にいた私は好意的に受け止めた(もちろん、2時間続いた入場行進はあまりに長く、トーマス・バッハIOC会長の13分に及ぶ演説には辟易したが)。それはオープニングに登場したひとりの女性アスリートのキャスティングがとにかく腑に落ち、私の穿った目を一変させたからだ。 暗闇の国立競技場で、スポットライトを一身に浴びた白いトレーニングウエアの女性はボクシング選手の津端ありささんだった。彼女は今年6月の世界最終予選への出場を予定し、五輪切符を手にするラストチャンスに賭けていた。 開会式に登場した津端ありさ選手 ©️時事通信社 ところが大会がパンデミックの影響を受けて中止となり、リングに上がることなく道は潰えた。開幕の1カ月前、私は津端さんを取材する機会があり、ぶつけどころのない怒りとやりきれない想いに加え、普段の仕事で