〈問い〉 戦後、公債発行の禁止が明記した財政法の規定がつくられたのはなぜですか? なのになぜ「国の借金」がふくれあがったのですか?(愛知・一読者) 〈答え〉 わが国の財政法は、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」(第4条)とし、国債の発行を原則として禁止しています。 この規定は、戦前、天皇制政府がおこなった無謀な侵略戦争が、膨大な戦時国債の発行があってはじめて可能であったという反省にもとづいて、財政法制定にさいして設けられたもので、憲法の前文および第9条の平和主義に照応するものです。 この点について、現行財政法の制定時の直接の起案者である平井平治氏(当時、大蔵省主計局法規課長)は、当時の解説書(「財政法逐条解説」1947年)で、次のようにのべています。 「戦争危険の防止については、戦争と公債がいかに密接不離の関係にあるかは、各国の歴史をひもとくまでも