水道水の検査に欠かせないヘリウムが品薄となり、調達できない自治体が相次いでいる。世界的な供給不足に、ロシアのウクライナ侵攻に伴う物流の混乱が追い打ちをかけた。各自治体とも予備を確保しており、水道水に影響は生じていないが、国は工業用を水質検査に回すよう業界に要請することも含め、対策の検討を始めた。(丸谷一郎) 大阪市の水質試験所ではヘリウムの節約に取り組んでいる(大阪市内で) カビ臭物質検出 水道水は水道法で定期的な検査が義務づけられており、定められた水質基準をクリアしなければならない。ヘリウムは水のカビ臭の原因となる物質や農薬などを検出する分析機に使われ、水道水から成分を分離する際に必要となる。 大阪市は3月、半年分にあたるガスボンベ11本を競争入札で調達しようとしたが、応札はゼロだった。予備はあるが、油の流出など水源が汚染される事故が発生した場合、検査する水の量が一気に増え、足りなくなる