アベノミクスの成長戦略を支える上で、成熟産業から成長産業への速やかな労働移動が模索されている。失業をなるべく最小限に留めて、最適な雇用再配置を促そう、というわけだ。そのような中、日本でも雇用促進に向け、公共職業紹介所(いわゆるハローワーク)や民間人材ビジネスを活用した、雇用仲介によるマッチング強化に期待が集まっている。この点、ヨーロッパには労働市場改革を繰り返し、試行錯誤を蓄積してきた歴史がある。 イギリスにおけるジョブセンター・プラスの設立や、ドイツのハルツ改革(ドイツで2000年前半からはじまったシュレーダー首相による大規模な労働市場・雇用改革で、フォルクスワーゲンの労務担当役員であったペーター・ハルツ氏を中心に行われた)が有名であるが、オランダをはじめとする他のヨーロッパ諸国でも似た試みがある。本稿では、筆者の研究チームがオランダおよびドイツで取り組んでいる研究成果を紹介しながら、公