本連載は、昨年まで米ビジネススクールで助教授を務めていた筆者が、世界の経営学の知見を紹介していきます。 さて、最近はCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)という言葉が日本でも定着してきました。CSRとは「民間企業が利益だけを優先するのではなく、幅広いステークホルダーを重視しながら社会に貢献する」ことを指します。環境保護活動や、途上国への支援活動はその代表例です。 他方で、CSRにはいまだに懐疑的な声もあります。もちろん企業が社会に貢献するのは素晴らしいですが、それにはコストがかかります。「収益をあげるのに必死の民間企業に、社会活動をする余裕はない」という方もいるでしょう。 こういう批判を受けてか、最近はCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)という、社会貢献とビジネスを融合させた考えも出てきました(日本では、キ