アメリカ中西部ミズーリ州セントルイス近郊で18歳の黒人青年が白人警察官に射殺された事件で、現場では激しい抗議デモが続きました。黒人青年が撃たれた際に両手を上げていた、という目撃証言があったからです。 この事件は、アメリカがまだ人種差別を乗り越えられないことを世界に示しましたが、その一方でデモ隊の行動に違和感を覚えたひともいるでしょう。一部の参加者がスーパーなどへの略奪を繰り返したからです。 この事件を白人はどう見ているのでしょうか。ここでは歴史認識の問題と比較して考えてみましょう。 アメリカの人種差別は奴隷制に始まります。奴隷は近代社会では人権に対する絶対悪とされており、経済的な利益を求めてアフリカから奴隷を輸入した白人が加害者で、自らの意思に反してアメリカに“強制連行”された黒人が被害者であることは明白です。この歴史認識(加害/被害関係)を否定すると、アメリカ社会では生きていけません。