岸田文雄首相は15日の衆院予算委員会で、同性婚を制度化すれば「社会が変わってしまう」とした自身の国会答弁に関し「否定的でも肯定的でもない発言だ」と主張した。同性婚に否定的と受け取られたことに反省の意は示したが、答弁の撤回は重ねて拒否した。 立憲民主党の西村智奈美代表代行は質問で、金田一秀穂杏林大名誉教授が首相答弁を「明らかに否定的ニュアンスを表している」と分析した本紙の記事を紹介。「日本語研究の第一人者が言われている。撤回すべきだ」と首相に迫った。
日本学術会議の会員選考で第3者委員会の設置など外部の関与を強めようと、政府が今国会で目指す法改正に、学術会議側は「独立性を侵害する」と真っ向から反対している。2020年秋の菅義偉首相(当時)による会員の任命拒否問題から2年余り。今年10月に会員の半数が改選を迎える中、選考方法の見直しに伴う任期延長論も出ており、動向が注目される。(望月衣塑子、梅野光春)
ロシア最高検は、終戦後旧ソ連政府によって無実の罪でシベリアに抑留された元伊藤忠商事会長の故瀬島龍三氏ら旧日本軍軍人の3氏の名誉回復(復権)措置を取り消した。ロシア外務省が27日に明らかにした。プーチン政権は第2次大戦中の日本の「戦争犯罪」を追及する構えを示しており、対日強硬策の一環とみられる。 一方的に名誉回復が取り消された旧日本軍人は、終戦時に関東軍作戦参謀だった瀬島氏のほか、諜報(ちょうほう)員を養成する旧陸軍中野学校の初代校長の秋草俊氏と樺太(サハリン)の防衛を担当した峯木(みねき)十一郎元陸軍中将。外務省のザハロワ情報局長は3氏が「情報機関のトップを務め、対ソ破壊工作に従事した」と指摘したが、実際に諜報を専門としたのは秋草氏のみ。 第2次大戦後、旧ソ連は約60万人の関東軍将兵らを連行。将兵らは無実の罪を科され、シベリアなどで強制労働に従事させられた。しかしソ連末期にゴルバチョフ書記
「この10年間、自民党政権が少子化対策を遅らせたという自覚はあるか」。民主党政権で厚生労働相だった立憲民主党の長妻昭氏は、かつて所得制限を強硬に主張して子育て支援を縮小させた自民党の責任を問いただした。 首相は「保育の受け皿整備や(3〜5歳などの)幼児教育、保育の無償化を進めた。少子化対策関係の予算は大きく伸びている」と待機児童の減少の成果を強調。それでも少子化を食い止められない問題については「これからを考えていかなければならない」と述べるにとどめ、過去の政策判断への反省はなかった。 自民党は「子育ては一義的に家庭が担うもの」との社会観から、民主党政権が「子どもを社会全体で育てる」との理念で所得制限をなくしたことに反対していた。長妻氏は「子どもの育ちを社会全体で応援すると言ったら自民党から『(旧ソ連の)スターリンか』と批判された」と子ども手当創設時を振り返り、今になって所得制限撤廃を言い出
本紙が情報公開請求した防衛省の「防衛力強化加速会議」の資料はほとんどが黒塗りで、政府が昨年末の安全保障関連3文書改定により保有を決めた敵基地攻撃能力(反撃能力)の検討過程は不透明なままだ。岸田文雄首相は戦後の安保政策を大転換した「決断」を強調するが、保有の必要性や運用の具体像など、多くの疑問が残っている。首相は23日の施政方針演説で「国会の場で正々堂々議論する」と述べており、国民の疑問に正面から答える説明が求められる。 (川田篤志) 歴代政権が保有してこなかった敵基地攻撃能力を必要とする理由について、国家安全保障戦略では、中国や北朝鮮が開発を進める極超音速ミサイルなどは、現在の日本の迎撃能力では対応が困難だと説明。敵基地攻撃能力を持つことで、日本への攻撃を思いとどまらせることにつながると主張する。
「コンプライアンス宣言」後にも違法行為を認定された旧統一教会 解散命令請求の根拠となり得る22件の裁判とは? 文化庁は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する「質問権」の行使で、信者による高額献金などを巡り教団の法的責任を認めた民事判決22件の詳細について、来年1月6日までに回答するよう求めている。教団の解散命令請求に値する「組織性、悪質性、継続性」の証拠を集める狙いだ。その材料となる判決では、どのような行為が指摘されたのか探った。 (太田理英子)
安倍晋三元首相の国葬で追悼の辞を述べる岸田首相=9月27日、東京都千代田区の日本武道館で(浅井慶撮影) 安倍晋三元首相の国葬について、衆院各会派協議会がまとめた検証結果。国論を二分した儀式に、国権の最高機関が出した正式な報告書はわずか3ページだった。政府の有識者ヒアリングの結果も年内にも公表される見通しだが、こんな調子で国民の疑問は解消されるのか。報告書全文を読み、検証した。(特別報道部・大杉はるか、西田直晃) 協議会は衆院議院運営委員会のもとに設置された。山口俊一委員長(自民)のほか、丹羽秀樹(同)、吉川元(立憲民主)、中司宏(日本維新の会)、岡本三成(公明)、浅野哲(国民民主)、塩川鉄也(共産)の議運メンバー6会派の6人で構成。「率直な意見が出しあえるように」と、非公開で行われた。 会派の推薦で選ばれた有識者計6人にヒアリングを実施。麗沢大の川上和久教授(政治心理学)、東京工業大の西田
名古屋刑務所(愛知県みよし市)で刑務官22人が受刑者3人に暴行などを繰り返していた問題で、刑務官による不適切な処遇は400件以上に上り、うち暴力を伴う行為が100件を超えることが法務省への取材でわかった。一部の刑務官は暴行が常態化していたとみられ、同省は調査を進めた上で、関係者の処分などを検討する。 同省によると、22人は昨年11月上旬〜今年8月下旬、40〜60代の男性受刑者3人に、計400件超の不適切な処遇をしていた。うち100件超は暴行で、胸ぐらをつかんだり、顔にアルコールスプレーを噴射したり、顔や手をたたいたりするなどの行為をしていた。暴行以外では、暴言を吐いたり、部屋に物を投げ入れたりするなどの行為が確認された。
日本学術会議の組織形態見直しを巡る政府方針に、会員の実質的な任命権限が首相にあることを強調する文言が、首相官邸の意向で最終的に盛り込まれたことが19日、関係者への取材で分かった。首相による任命拒否が可能なことを明確にする意図があるとみられ、方針への対応を決める21日の学術会議総会で反発も出そうだ。 該当部分は「内閣総理大臣による任命が適正かつ円滑に行われるよう必要な措置を講じる」との文言で、6日公表の政府方針に記載。方針は他に、会員の選考や任命に関して第三者の関与で透明性を高めるなどとし、政府はこれを踏まえた関連法の改正案を来年の通常国会に提出する構え。
平和主義をうたう憲法を横目に、再び戦争への道を歩むのか。国会での議論もなく、増税による防衛力強化や敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有に道筋を付けた16日の閣議決定。反戦を訴える人や識者からは、懸念の声が相次いだ。
敵基地攻撃能力(反撃能力)を保有しても、日本の安全は高まらないと考える。攻撃を受けたときに限って武力行使をするとした専守防衛という長年の宣言政策の信頼が低下し、他国の不安をかき立てる。周辺国との緊張が激化して、さらに軍備競争が加速する「安全保障のジレンマ」から抜け出せなくなるからだ。 例えば、1998年の北朝鮮のミサイル発射実験を受けて日米で共同研究を進め、日本政府は2003年に弾道ミサイル防衛(BMD)システムの整備を閣議決定した。だが、これは相手国のミサイルの軍事的効果を相殺するため、BMDの対応力を超えるミサイル開発への誘因となった。防衛力強化を期待して行ったことが逆効果となり、安全保障環境を悪化させたことを政府・与党は自覚した方が良い。
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