【書評】「井戸を掘った人」が井戸に落とされる時代:鈴木英司『中国拘束2279日 スパイにされた親中派日本人の記録』 Books 国際・海外 政治・外交 社会 2023.06.16 日中友好の中核を担った人物が、中国訪問時にスパイ罪で逮捕され、6年の実刑判決を受け、服役を終えて今年帰国した。その全過程を赤裸々に語った本が出版された。その記述が我々に伝えるのは、習近平体制下の中国と、外国人が親しく付き合う絶望的なほどのリスクである。 意見交換が「スパイ行為」と認定 本書によって人々は、中国でいったん疑いをかけられた結果、容疑の事実関係がどうであれ、きわめて理不尽な目に遭う可能性がある、という事実を突き付けられる。そして、「中国と近いほど危ない」という逆説的な実情が浮かび上がる。 著者の鈴木氏は、議員秘書から中国での教員を経て日中青年交流協会の理事長につき、訪中歴は200回を超え、中国と日本のパ