こんな時期に集中講義があって、マーサC・ヌスバウムという人の『女性と人間開発』という本を読む。インドの女性を取り上げて「その人がどんなことができるのか?」という視点から、国際比較や現状の批判・打開を行うことの意味を説く本だ。 私は一般的にフェミニズムに強いシンパシーを感じない。これまでの人生で、自分が女性であるという理由で、男性に何かを言いたいと感じるほどの経験がないからだ(もちろんこれからそのような経験をする可能性は十分にあるし、ほぼ確実なのだろうが)。「女性として」扱われることに、自分自身とのギャップを感じて嫌だなと感じることはあるけれど、同じくらい、いやもしかしたらそれ以上に「女性として」扱われることで得をしているなと感じるし、「男性として」扱われている人が損をしているなと感じる。だから、もし今の私がものを言うとすれば、「女性として」「男性へ」言うのではなく、「性」によった規範概念で