日野自動車の品質不正は、中大型車のディーゼルエンジンの燃費・排ガスの検査不正の発覚から始まりました。この件の調査報告書は2022年の8月2日に公表され、そのわずか20日後の同月22日には、国土交通省の立ち入り検査で小型トラック用エンジンの性能試験における不正が発覚しました1)。結果的に、同社の国内向け車種のほとんどが販売不能に陥りました。 ディーゼル車の排ガス規制は平成の時代に大幅に厳しくなっています。規制クリアのための技術開発は極めて困難な課題だったのでしょう。不正の直接的な原因は技術力不足と考えられますが、最大の原因は経営陣の厳しい圧力です。 経営陣が困難な性能目標を掲げることは、生き残るために必要です。しかし、開発陣がその目標をクリアできないとき、経営陣が現場と課題を共有して解決に取り組まなければ、出口がみつかりません。日野自動車の調査報告書はこの状況を「押し付けられた『無理』を不正
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