「イノベーションは滅多に起きるものではない。頑張ってやると全く別の方向に向かってしまう。まずは何がイノベーションで、そうではないのかをはっきりさせることが重要だ」―――。 一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏は2014年7月3日、日経BP社が東京・品川プリンスホテルで開催中のイベント「IT Japan 2014」の特別講演で「イノベーションとは何か、何ではないのか」をテーマに登壇(写真1)。イノベーションとそうでないものを明確に切り分ける視点と、イノベーションの実現に対してとるべき構えについて語った。 楠木氏は冒頭で、イノベーションを実現しようと頑張る企業ほどイノベーションから遠ざかる理由について、以下のように述べた。「何か新しいことをして現状を打破することがイノベーションだという単純な思い違いがある。何がイノベーションか、そうではないのかをはっきりさせると最初の誤解が解ける」。